2006年12月01日

ある日

そこに居る 君が笑った
僕は ただ 驚くのだ



午後 6時
僕は いつも通り 君に水をやる

君は 花

白い 花

君の多くを 僕は知らない
君は語る術を持たない


3ヶ月くらい前
ベランダのプランターから 芽を出した

雑草とは明らかに違う
透き通るような 緑
繊細で 力強い フォルム


何故 君が そこにいたのか 知らない

けど
摘み取るには 余りにも惜しい その姿に
心が動いたのは 確かな事実


僕は 君に関して 知る 努力をした


けれど

どうしても 君のことは わからなかった


どこから来て
何処に行くべきなのか

僕を

見てくれる 存在なのか


そして

君の名が 知りたかった


何故だろう
それが 一番 知りたかった

けれど

君は 語る術を持たない


君は 黙って水を飲み
君は 黙って天に手を広げ続ける


まるで
僕のことなど 景色と同じくらいのように



君はいつしか 緑を濃くし
緊張した つぼみを 一つ つけた


堅く 閉じた 緑


それはそれで 十分に気高く 綺麗だと 思った


そして 今朝
白い 花びらを 僕に見せた

いや
僕には見せて いないのだろう

ただ君は あるがまま なのだ

君は 白い 花 だから
白い 花を ためらいなく 開く


僕は その 白を
限りなく 美しく感じると 同時に

その 白に
限りない 寂しさを 覚えた


その 世界には 僕は いない

その 白に 僕の 理由など ない




昼を過ぎて 君はますます 白を広げる

誇るように ますます 白を広げる


太陽の光が すこし強い気がした
でも 君の白は 負けなかった

まるで 君自身が 太陽だった


僕は
その 白に
限りない 寂しさを 覚えた



日が傾き オレンジ色を含んでくると
君は 少し 白を曇らせた



そして



夕方 闇が 覆った 窓際



君は ふと こちらを見た



君は 語る術を持たない

けれど
きっと

僕を 見たんだろう


そして
わずかに 笑った


本当に わずかに










その後 まもなく 君は 白をすべて 落とした


初めから そんなもの 無かった ような 顔をして
すべて
落とした





午後 6時
僕は いつも通り 君に水をやる

君は 花

白い 花

君の多くを 僕は知らない
君は語る術を持たない



語る術は 持たないけれど



でも きっと
僕は 君の側にいることを 許されていたんだと 思う
posted by b at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | words
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